外国人による会社設立の流れ


行政書士 永井国際法務事務所

VISA申請や帰化申請にまつわる内容を中心に連載形式のコラムです

経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)を取得するには、一般的には、まず会社を設立することから始まります。

会社設立の流れを簡単にいうと、「会社概要(商号・目的・本店所在地など)の決定」「法人実印の作成」「定款の作成・認証」「資本金の払込」「設立登記の申請」という主要5ステップが基本で、これに前後して発起人決定や登記後の手続きが加わります。

今回のコラムでは、外国人が会社設立の流れを確認していきましょう。

1.外国人による会社設立の流れ

日本で外国人が会社を設立する場合、以下のような流れで手続きが進みます。案件によっては、この他にも手続きが必要な場合がありますので、専門家に相談されることをお勧めします。

1-1 役員全員が日本居住の場合の必要書類

代表者を含め役員となる方全員が日本居住の場合は、国際郵便で書類のやり取りをする必要がないので、比較的短時間で会社設立手続きを進めることができます。おおよそ3週間程度で会社設立が可能です。

必要となる書類等は、次のとおりです。

【必要書類等】 ・「印鑑証明書」(市区町村発行) ・個人の実印 ・これから作る会社の実印

1-2 役員の中に海外居住者がいる場合の必要書類

代表者を含め役員の中に海外居住の方がいる場合は、国際郵便で書類のやり取りをする必要がないので、比較的短時間で会社設立手続きを進めることができます。おおよそ3週間程度で会社設立が可能です。

必要となる書類等は、次のとおりです。

【必要書類】 ・海外居住の中国人の場合は本国発行の「印鑑公証書」+翻訳文 ・海外居住の台湾人の場合は台湾の「印鑑証明書」+翻訳文 ・海外居住の韓国人の場合は韓国の「印鑑証明書」+翻訳文 ・海外居住のその他の国籍の外国人は本国発行の「サイン証明書】+翻訳文 ・日本居住の役員がいる場合は日本人・外国人を問わず「印鑑証明書」(市区町村発行) ・日本居住の役員がいる場合は日本人・外国人を問わず個人の実印 ・これから作る会社の実印

1-3 会社設立

会社設立のための各ステップは、次のとおりです。

STEP1会社の基本事項を決める
STEP2「定款」を作成する
STEP3公証役場で定款を認証する(株式会社のみ)
STEP4会社の資本金(出資金)を振込する
STEP5法務局へ法人設立登記をする(会社設立)
STEP6税務署へ各種届出をする
STEP7許認可を取得する(必要な場合)
STEP8経営管理ビザの申請
STEP9年金事務所・労働基準監督署・ハローワーク等へ各種届出

各STEPを詳しく見ていきましょう。

STEP1 株式会社の基本事項を決める

会社を設立するにあたって、会社名(商号)、会社所在地、事業目的、発起人(株主)、発起人の出資額、役員構成などを決めなければなりません。最初に会社所在地を決めなければなりませんので、この時点で事務所を借りるか、一時的に自宅に会社所在地を置くかを決める必要があります。

STEP2 「定款」を作成する

会社の基本原則となる「定款」を作成します。STEP1で決定した基本事項を盛り込んだ定款をワードで作成します。

定款では、社名・所在地・事業目的・資本金額(合同会社では出資金)・役員構成(合同会社では社員)・決算期など会社の重要事項を定ます。

全国公証人連合会の提供する「定款等記載例」を参照して作成する例が多いです。

STEP3 公証役場で定款を認証する(株式会社の場合)

株式会社の場合は、定款ができあがったら公証役場で認証します。

当事務所では行政書士電子定款対応しており、ワードで作った定款をPDFにし、電子署名を施し公証役場へ送付いたします。電子定款を使うことにより、通常40,000円の印紙税が必要なところが無料になります。ご本人で認証依頼をしますと追加で40,000円の印紙代がかかります。

なお、合同会社では、公証役場で定款を認証自体が不要になります。

STEP4 会社の資本金(出資金)を振込する

会社の資本金(3,000万円)を振り込みます。

株式会社の場合は、必ず公証役場での定款認証が終わった後に、発起人の個人口座に資本金を振り込みます。

なお、海外送金で振込する場合は日付にご注意ください。

また、発起人の個人口座は日本の大手銀行の口座である必要があります。その他、海外銀行の日本支店の口座でも大丈夫です。したがって日本に銀行口座をもっていない方は単独で会社設立することは現実的にはできません。

短期滞在(ノービザ)で来日しても銀行口座は開設できません。そこで会社設立にあたっては日本人等の協力者(一時的に役員になる方)が必要になります

STEP5 法務局へ法人設立登記をする(会社設立)

登記に関しては、提携司法書士が設立登記に必要な登記申請書類一式を作成し、法務局へ法人設立登記と会社代表印の登録を行います。

登記申請日が会社設立日となります。特に補正がない場合は、登記申請日から約1週間程度で「登記事項証明書(登記簿謄本)」が取得できるようになります。

株式会社の登記申請は法務局へ21万円の実費がかかります。

株式会社設立登記に必要書類は、次のとおりです。

株式会社設立登記の必要書類
取締役1名の場合取締役複数の場合
登記申請書 定款 発起人の決定書 設立時取締役の就任承諾書
設立時取締役の印鑑証明書 資本金の払込証明書 印鑑届出書 「登記すべき事項」を記載した書面又は保存したCDR
登記申請書 定款 発起人の決定書 設立時取締役の就任承諾書 設立時代表取締役の就任承諾書 設立時取締役の印鑑証明書 資本金の払込証明書 印鑑届出書 「登記すべき事項」を記載した書面又は保存したCDR

 

STEP6 税務署へ各種届出をする

「法人設立届」「給与支払い事務所等の開設届」「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」など各種税務署に届け出るべき申請をします。税務署への届出の控えは経営管理ビザ申請時に添付するので必須です。

税務署の届出る書類は、次のとおりです。

  税務署に届出る書類 法人設立届 給与支払事務所等の開設届出書 源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書 青色申告の承認申請書 棚卸資産の評価方法の届出書

STEP7 許認可を取得する(必要な場合)

古物商許可、免税店、人材紹介業、旅行業、不動産業、建設業など許認可が必要なビジネスをする場合は、経営管理ビザの申請「前」に許認可取得が必要です。

STEP8 経営管理ビザの申請

在留資格申請書、事業計画書、その他の各種証明書を準備した後に出入国在留管理局へ経営管理ビザの申請を行います。経営管理ビザはすべての準備ができた後に行うものですので絶対に失敗は許されないといえるでしょう。

STEP9 年金事務所・労働基準監督署・ハローワーク等へ各種届出

年金事務所・労働基準監督署・ハローワーク等へ法令に基づき各種届出が必要な手続きを行います。

各種届出の代表例は、次のとおりです。

各種届出の代表例
届出先対象届出
都道府県税務署と市区町村役場事業開始等申告書
年金事務所新規適用届 新規適用事業所現況届 被保険者資格取得届 健康保険被扶養者(異動)届
労働基準監督署保険関係成立届 概算保険料申告書 添付書類 会社の履歴事項全部証明書(登記簿謄本) 従業員名簿 賃金台帳 出勤簿
ハローワーク適用事業所設置届 雇用保険被保険者資格取得届 保険関係成立届 添付書類 雇用保険従業員が以前雇用保険の被保険者であったときは被保険者証 会社の履歴事項全部証明書(登記簿謄本) 従業員名簿 賃金台帳 出勤簿 労働保険関係成立届控え(労働基準監督署の受付印のあるもの)

2.会社設立に関しての参考情報

さて、ここで会社設立の際の基本事項を検討するにあたり、参考となる情報をご紹介します。

1.会社名の決定のルール

会社名を決めるには、法律上ルールがあります。

せっかく思いついた会社名でも、法律に違反していれば会社設立はできません。しかし、ルールはそれほど難しくありません。次の4つの要件を満たしてください。

1-1 会社名の中に「株式会社」または「合同会社」という文字を入れる

株式会社の場合は「株式会社」を会社名(商号)の中に入れます。「

株式会社」は社名の前でも、後でもかまいません。株式会社東西商事でもいいし、東西商事株式会社でもよいのです。

「合同会社」の場合も同様です。

1-2 使える文字の制限

会社名に使える文字には制限があります。制限があるといってもほとんどの文字は使えますからさほど気にしなくても問題ないです。使える文字は下記となります。中国語の簡体字や繁体字、ハングル文字などは使えません。

・漢字
・ひらがな・カタカナ
・ローマ字(大文字・小文字)
・アラビア数字(0123456789)
・一定の符号(「&」「’」「,」「-」「.」「・」) 

2. 事業目的の決め方

会社設立の際には、定款に事業目的を定める必要がありますが、「登記すべき事項」であり、会社の登記事項証明書にも記載されることになります。

事業目的は、「目的が具体的であること」、「明確であること」、「適法であること」など一定のルールがあります。基本的には会社設立後にすぐ行おうとする事業目的を記載すればよいですが、すぐには行わないけれども将来に行う予定の事業があれば前もって入れておいても構いません。

しかし、事業目的が多いと、融資を受けようとする際にハードルとなることもあります。

もっとも、後で事業目的を追加したり、削除したりするときは、法務局へ登録免許税として3万円がかかります。

また、許認可ビジネスを行おうとする場合は、事業目的にしっかり記載しておかないと原則その許可が取ることができません。例えば、中古自動車輸出入ビジネスをしたい場合は、「古物営業法に基づく古物商」「中古自動車の買取、販売及び輸出入」などと事業目的に定める必要があります。

3.株式譲渡制限

株式譲渡制限とは、会社の「株式」を売却する等の譲渡する際に、会社の承認を必要とするということです。

会社の株式を自由に他人に譲渡できると株主が頻繁に変わってしまい、知らない他人が株主になってしまいます。

それを防止するために株式譲渡制限の規定を定め、株式を譲渡する際には会社の承認を得なければいけないというルールにすることができます。

小さい外国人オーナーの株式会社であれば、プライベート・カンパニーとするでしょうから、株式譲渡制限を事前に定めておくことをお勧めします

4.株式会社設立にかかる費用

外国人が株式会社を設立する際に必要な費用は、約40万円かかります。

内訳は、公証役場で定款を認証してもらう際に5万円+定款謄本代1000円程度、登記申請時に法務局へ登録免許税として最低21万円、定款を紙で作成した場合は収入印紙4万円の実費となります。

しかし、しかし、当事務所にご依頼いただけれ、ば別途株式会社設立サポート費用はかかりますが、電子定款で作成しますので4万円がかかりません。

5.来日せずに外国人が日本で会社を設立する方法

日本で株式会社を設立するためには、定款を公証役場で認証し、設立登記申請書を管轄の法務局へ提出することが必要です。

日本在住で一時的に役員に入っていただける協力者がいれば別ですが、外国人1人会社では、来日せずに設立手続きを行うのは現実的には不可能です。

日本に協力者がいれば、その方が相当動き回らなければなりませんが可能といえます。

また、当事務所へご依頼いただければ、基本的にすべての株式会社設立手続きを代行いたしますので、来日が不要になるケースも多いといえます。

3.まとめ

如何だったでしょうか。

外国人による会社設立の流れを説明いたしましたが、概略をご理解頂けましたでしょうか。

再度ポイントを確認しますと、外国人による会社設立の流れは、つぎの9ステップを経て行われます。

STEP1会社の基本事項を決める
STEP2「定款」を作成する
STEP3公証役場で定款を認証する(株式会社のみ)
STEP4会社の資本金(出資金)を振込する
STEP5法務局へ法人設立登記をする(会社設立)
STEP6税務署へ各種届出をする
STEP7許認可を取得する(必要な場合)
STEP8経営管理ビザの申請
STEP9年金事務所・労働基準監督署・ハローワーク等へ各種届出

会社設立を考える際の参考にしてみてください。

【注意】本コラムは、令和7年12月時点での情報に基づき作成しています。

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