
特定技能で登録支援機関と受入れ機関が行わなければいけない届出
行政書士 永井国際法務事務所
VISA申請や帰化申請にまつわる内容を中心に連載形式のコラムです
外国人を雇用した受入れ機関は、地方出入国在留管理官署に届出を行う必要があります。しかし、届出に必要な書類やタイミングが分からない企業担当者もいらっしゃるかもしれません。
このコラムでは、在留資格「特定技能」を有する外国人を雇用する受入れ機関と、登録支援機関が行わなければならない届出について確認していきます。
1.登録支援機関が行わなければならない届出
まず、「登録支援機関」について確認しましょう。企業等の受入れ機関は、特定技能外国人の活動を円滑にするために、登録支援機関へ支援計画の作成・実施を委託する場合が多いです。
委託を受けた登録支援機関は、受入れ機関の代わりに作成・実施した支援計画について、受入れ機関の管轄である地方出入国在留管理官署に届出る義務があります。
登録支援機関が行う届出は、次の3つです。
① 登録事項変更に係る届出
② 支援実施状況に関する届出
③ 支援業務の休廃止又は再開に係る届出
それぞれの詳細を確認しましょう。
1-1. 登録事項変更に係る届出
出入国在留管理庁への登録事項に変更があった登録支援機関は、変更内容についての届出が必要です。登録事項には、企業名や代表者の氏名など登録支援機関の情報はもちろん、支援業務を行う受入れ機関についての情報も含まれます。
登録事項の変更については、変更が発生した日から14日以内に届け出なければなりません。
| 手続義務者 | 登録事項に変更が生じた登録支援機関 |
| 届出期間 | 事由が生じた日から14日以内 |
| 必要書類 | ・届出書 ・変更内容を証明する資料 ・身分を証する文書等を提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封) |
| 届出事項 | ― |
1-2. 支援実施状況に関する届出
「支援実施状況に関する届出」は、登録支援機関が行う届出のうち唯一定期的に行わなければならないものです。届出の内容は、「空港への出迎え・見送り」や「住居の確保」など「1号特定技能支援計画」に基づくさまざまな項目があり、それぞれを実施したかどうかを出入国在留管理庁が確認します。
「支援実施状況に関する届出」は、以前は四半期ごとに届出することになっていました。
しかし、令和7年4月1日からは、年に1回の届出になりました。
| 手続義務者 | 登録支援機関 |
| 届出期間 | 1年ごとに1回,4月1日から5月31日までの間 |
| 必要書類 | ・支援実施状況に係る届出書 ・1号特定技能外国人支援対象者名簿 ・相談記録書 ・定期面談報告書(1号特定技能外国人用) ・定期面談報告書(監督者用) ・転職支援実施報告書(実施していれば) ・身分を証する文書等を提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封) |
| 届出事項 | (1)特定技能外国人の氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地及び在留カード番号 (2)特定技能所属機関の氏名又は名称及び住所 (3)特定技能外国人から受けた相談の内容及び対応状況(労働基準監督署への通報及び公共職業安定所への相談の状況を含む。) (4)出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為の発生,特定技能外国人の行方不明者の発生その他の問題の発生状況 |
1-3. 支援業務の休廃止又は再開に係る届出
登録支援機関が行う支援業務を休止または廃止する場合、届出が必要です。届出期間は支援業務を休止・廃止した日から14日以内であり、届け出る事由が生じる度に対応が求められるため注意してください。
複数の受入れ機関を支援している登録支援機関の場合、一部の受入れ機関の支援だけを休止または廃止することもあるでしょう。その場合、併せて前項の「登録事項変更に係る届出」も行なわなければなりません。
また、休止した後、登録支援機関として支援業務を再開する場合は、休止する際の届出とは異なる様式での届出を行う必要があります。
| 手続義務者 | ・支援業務を休止又は廃止した登録支援機関 ・休止した支援業務を再開しようとする登録支援機関 |
| 届出期間 | ・(支援業務を休止又は廃止した場合)休止又は廃止した日から14日以内 ・(休止した支援業務を再開しようとする場合)再開前 |
| 必要書類 | ・届出書 ・身分を証する文書等を提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封) |
| 届出事項 | (1)届出機関の情報(氏名又は名称、住所等) (2)休廃止又は再開をする旨 |
※支援を行う事務所のうち、一部の事務所において支援業務を休止する場合、新たな事務所において支援業務を開始する場合は、登録事項変更に関する届出を行う必要があります。
2.受入れ機関(特定技能所属機関)が定期的に行う届出
次に、「受入れ機関が定期的に行う届出」について確認していきましょう。
特定技能外国人と直接雇用契約を結ぶ受入れ機関(特定技能所属機関)が届出を怠ると、最悪の場合、外国人を雇用できなくなる場合もあります。そうならないためにも、各届出について理解を深めてください。必要に応じて登録支援機関への委託を検討した方が良いかもしれません。
2-1. 企業等の受入れ機関(特定技能所属機関)が定期的に行う届出は、「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出」です。
受入れ機関(特定技能所属機関)は、届出対象期間中に在籍していた特定技能外国人の情報を明記した届出を行う必要があります。このとき、届出期間中に受入れを終了した特定技能外国人の情報についても記載が必要になります。
届出事項は、特定技能外国人の氏名、生年月日、性別、国籍、在留カードの番号などの他、雇用条件に関することや経費などについても詳しく記載します。
この定期届出は、以前は四半期ごとに届出することになっていました。
しかし、令和7年4月1日からは、年に1回の届出になりました。
| 手続義務者 | 特定技能外国人を受入れた特定技能所属機関 |
| 届出期間 | 1年ごとに1回,4月1日から5月31日までの間 |
| 届出の対象期間 | 対象年の4月1日から翌年の3月31日まで |
| 必要書類 | ・受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書 ・特定技能外国人の受け入れ状況・報酬支払い状況 ・賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの) ・賃金台帳の写し(比較対象の外国人のもの) ・報酬支払証明書 ・身分を証する文書等を提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封) |
| 届出内容 | (1)届出の対象となる期間内に受け入れていた特定技能外国人の総数 (2)届出に係る特定技能外国人の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カードの番号 (3)届出に係る特定技能外国人が特定技能の活動を行った日数、活動の場所及び従事した業務の内容 (4)届出に係る特定技能外国人が派遣労働者等である場合、派遣先の氏名又は名称及び住所 (5)定技能外国人及び当該特定技能外国人の報酬を決定するに当たって比較対象者とした従業員に対する報酬の支払状況 (6)所属する従業員の数、特定技能外国人と同一の業務に従事する者の新規雇用者数、離職者数、行方不明者数及びそれらの日本人及び外国人の別 (7)健康保険、厚生年金保険及び雇用保険に係る適用の状況並びに労働者災害補償保険の適用の手続に係る状況 (8)特定技能外国人の安全衛生に関する状況 (9)特定技能外国人の受入れに要した費用の額及びその内訳 ※支援報告内容は、2-2を参照ください。 |
届出の際は、外国人労働者に対する報酬の支払い状況が明記された書類の添付が必要です。また、外国人労働者自身の事情でない理由で離職者(非自発的離職者)が発生した場合、労働名簿の写しも必要となります。
行方不明者については、後述する「受入れ困難に係る届出」が別途必要になります。
2-2. 支援実施状況に係る届出
登録支援機関に外国人労働者の支援を委託していない受入れ機関(特定外国人所属機関)は、「支援実施状況に関する届出」も定期的に行う必要があります。届出の内容は、登録支援機関の届出として前述した「支援実施状況に関する届出」と同様です。
登録支援機関に支援を委託している場合、この業務は登録支援機関に委任することが可能です。
| 手続義務者 | 特定技能外国人を受入れた特定技能所属機関 |
| 届出期間 | 1年ごとに1回,4月1日から5月31日までの間 |
| 必要書類 | (支援実施状況に係るもの) ・1号特定技能外国人支援対象者名簿 ・相談記録書 ・定期面談報告書(1号特定技能外国人用) ・定期面談報告書(監督者用) ・転職支援実施報告書(実施していれば) |
| 届出事項 | (1)特定技能外国人の氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地及び在留カード番号 (2)特定技能所属機関の氏名又は名称及び住所 (3)特定技能外国人から受けた相談の内容及び対応状況(労働基準監督署への通報及び公共職業安定所への相談の状況を含む。) (4)出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為の発生,特定技能外国人の行方不明者の発生その他の問題の発生状況 |
3.受入れ機関(特定技能所属機関)が随時行う届出
次に、受入れ機関(特定技能所属機関)が雇用する特定技能外国人に関して、何らかの変更が生じた場合に随時行う届出について解説します。具体的な届出は以下の5つです。
- 特定技能雇用契約に係る届出
- 支援計画変更に係る届出
- 支援委託契約に係る届出
- 受入れ困難に係る届出
- 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為に係る届出
いずれも届け出る事由が発生した日から14日以内に届出を行わなければなりません。それぞれ詳細を確認していきましょう。
3-1. 特定技能雇用契約に係る届出
受入れ機関と特定技能外国人の間で交わした雇用契約を変更、終了、または新たに締結した場合、「特定技能雇用契約に係る届出」を行う必要があります。出入国在留管理庁で提供されている届出様式を使用し、記入欄やチェックボックスを埋めて提出します。
雇用契約の変更の内容には、外国人労働者の賃金や就業時間、就業場所などが挙げられます。変更後の内容については「別添の雇用条件書のとおり」と記載し、雇用条件を記載した書類を添付すれば問題ありません。
雇用契約の終了の届出では、終了の事由について受入れ機関の都合によるものか、外国人労働者本人の都合によるものかを記載しなければなりません。前者の場合、支援計画に則り転職のサポートが必要になることも留意しておきましょう。
| 手続義務者 | 特定技能雇用契約を変更,終了又は新たに締結した特定技能所属機関 |
| 届出期間 | 事由が発生した日から14日以内 |
| 必要書類 | ・届出書 ・変更又は新たに締結した契約内容を証明する資料(必要に応じて) ・身分を証する文書等を提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封) |
| 届出事項 | 下記(1)~(3)に共通の届出事項: 届出に係る特定技能外国人の氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地及び在留カードの番号 (1)特定技能雇用契約を変更した場合 ア 特定技能雇用契約を変更した年月日 イ 変更後の特定技能雇用契約の内容 (2特定技能雇用契約を終了した場合 ア 特定技能雇用契約を終了した年月日 イ 特定技能雇用契約の終了の事由 (3)新たな特定技能雇用契約を締結した場合 ア 新たな特定技能雇用契約を締結した年月日 イ 新たな特定技能雇用契約の内容 |
【注意事項】
① 届出内容によって,提出する資料が異なります。
(詳しくは「特定技能外国人受入れに関する運用要領」第7章を参照。)
② 特定技能雇用契約を終了した場合で、契約終了が「雇用契約の終期到来」以外の事由で,特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出をあらかじめ提出していないときは,併せて提出する必要があります。
まだ契約を終了していない場合には,特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出のみをあらかじめ提出する必要があります。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00187.html
3-2. 支援計画変更に係る届出
「支援計画変更に係る届出」は、元々の支援計画に記載した支援内容に変更が生じた場合に行う届出になります。
具体的には、支援計画に必要な支援責任者や支援担当者数の変更、受入れ機関が特定技能外国人に行う支援内容の変更などについて記載します。
| 手続義務者 | 1号特定技能外国人支援計画に変更が生じた特定技能所属機関 |
| 届出期間 | 事由が発生した日から14日以内 |
| 必要書類 | ・届出書 ・変更内容を証明する資料(必要に応じて) ・身分を証する文書等を提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封) |
| 届出事項 | ― |
(注)届出内容によって,提出する資料が異なります。(詳しくは「特定技能外国人受入れに関する運用要領」第7章を参照。)
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00201.html
3-3. 支援委託契約に係る届出
「支援委託契約に係る届出」は、受入れ機関と登録支援機関の間で交わす委託契約について、契約の締結や契約変更、契約終了した場合に行います。
ただし、新たに委託契約を締結した場合や、契約の変更をした場合は、届出の際に委託契約書も添付する必要があります。
| 手続義務者 | 支援委託契約を新たに締結、変更又は終了した特定技能所属機関 |
| 届出期間 | 事由が発生した日から14日以内 |
| 必要書類 | ・届出書 ・新たに締結又は変更した契約内容を証明する資料(必要に応じて) ・身分を証する文書等を提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封) |
| 届出事項 | 下記(1)~(3)に共通の届出事項: 届出に係る特定技能外国人の氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地及び在留カードの番号 (1)支援委託契約を新たに締結したとき ア 支援委託契約を締結した年月日 イ 締結した契約の内容 (2)支援委託契約を変更したとき ア 支援委託契約を変更した年月日 イ 変更後の契約の内容 (3)支援委託契約を終了したとき ア 支援委託契約を終了した年月日 イ 終了の事由 |
3-4. 受入れ困難に係る届出
受入れ機関の経営悪化によって特定技能外国人の受入れができない場合や、特定技能外国人本人が疾病・怪我等により受入れできない場合は、「受入れ困難に係る届出」を行う必要があります。
また、受入れができなくなったことにより雇用契約を終了する場合は、「特定技能雇用契約に係る届出」よりも先に「受入れ困難に係る届出」を行います。
| 手続義務者 | 経営上の都合や特定技能外国人の死亡、病気・怪我、行方不明、帰国等により、引き続き特定技能外国人を受け入れることが困難となった特定技能所属機関 |
| 届出期間 | 事由が発生した日から14日以内 |
| 必要書類 | ・届出書 ・受入れ困難になるに至った経緯に係る説明書(参考様式第5-11号) ・身分を証する文書等を提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封) (注)届出内容によって、追加の疎明資料を求めることがあります。 |
| 届出事項 | (1)届出に係る特定技能外国人の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カードの番号 (2)受入れが困難となった事由並びにその発生時期及び原因 (3)特定技能外国人の現状 (4)特定技能外国人の活動継続のための措置 |
本届出は、特定技能雇用契約を終了し、特定技能雇用契約の終了に係る届出を行う前に行うことが望まれます。。
やむをえず、契約の終了前に本届出をあらかじめ提出できない場合には、特定技能雇用契約の終了に係る届出と併せて提出します。
3-5. 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為に係る届出
「出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為に係る届出」は、受入れ機関が特定技能外国人の人権を侵害する以下のような行為を行っていた場合に、その事実を知った他の受入れ機関が行う届出です。
・外国人に対して暴行や脅迫
・外国人の旅券や在留カードを取り上げる
・外国人に対する報酬の不払い
・外国人の生活を不当に制限する
・各種書類の虚偽行為
・各種届出をしていない
| 手続義務者 | 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為があったことを知った特定技能所属機関 |
| 届出期間 | 事由が発生した日から14日以内 |
| 必要書類 | ・届出書 ・身分を証する文書等を提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封) |
| 届出事項 | (1)届出に係る特定技能外国人の氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地及び在留カードの番号 (2)出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為の発生時期,認知時期及び当該行為への対応 (3)出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為の内容 |
4.まとめ
登録支援機関と受入れ機関(特定技能所属機関)は、この記事で紹介した各届出を行う義務があります。受入れ機関は届出を怠ると、自社に外国人を迎えられなくなる可能性もあるため注意する必要があるでしょう。
届出の方法としては、郵送や窓口への持参、インターネットでの送付があります。届出に必要な書類や届出のタイミングが分からない場合は、このコラムを参考にしてみてください。
【注意】本コラムは、令和7年12月時点での情報に基づき作成しています。
