派遣社員で在留許可を得る要件


行政書士 永井国際法務事務所

VISA申請や帰化申請にまつわる内容を中心に連載形式のコラムです

派遣社員は、さまざまな仕事や職場にチャレンジでき、勤務地も自由に選べるのが魅力的です。

このコラムでは、外国人が派遣社員の就労在留資格を取得する要件や仕事内容について説明します。特に、派遣社員で在留許可を得る要件について詳しく解説します。

外国人を派遣社員として雇用することを考えている企業の方は、ぜひ確認ください。

1.派遣社員が就労在留資格を取得するケース

外国人の中には派遣社員として働くことを希望する人もいます。

自分のキャリアやスキルを活かして働ける派遣社員はとても魅力的です。

どのようにすれば、就労在留資格は取得できるのでしょうか。

就労の在留資格を取得するには一般に企業と「契約」を結ぶ必要がありますが、この契約には企業との「雇用契約」だけでなく「派遣契約」も含まれます。

つまり、この「派遣契約」を使うというのが答えになります。

ただし、派遣社員は正社員よりも在留資格の審査が厳しくなります。就労の在留資格は、継続的に就労する場合に取得できますが、一定の派遣期間だけ就労する派遣社員の場合、継続的に就労するとは認められない可能性があるのです。

更に、入管に就労在留資格を申請するとき、雇用主である「派遣元」と実際に就労する「派遣先」の両方が審査の対象になるものもあります。「派遣元」が安定的・継続的に外国人を雇用できることを証明するとともに、「派遣先」が外国人の経歴にマッチした仕事を安定して提供できることを証明する必要があります。

2.就労在留資格の取得要件

■学歴・職歴

「技術・人文知識・国際業務」を取得して下記に挙げる業種に就く場合、

  • ITエンジニア、プログラマーなど「技術」が必要な職種
  • 法務、広報、会計など「人文知識」が必要な職種

次のいずれかの要件を満たすことで高度な専門的知識やスキルを習得していること証明する必要があります。正社員も派遣社員でも、入管が求める専門的知識やスキルのレベルは同じです。

  • 大学・大学院の卒業・修了または日本の専門学校を修了
  • 10年以上の関連する職務の実務経験

また、通訳、翻訳、デザイナーなどの「国際業務」の職種に就く場合、関連する業務について3年以上の実務経験が必要です。ただし、大学を卒業した方が翻訳、通訳、語学の指導を行う場合、実務経験は必要ありません。

■業務の関連性

「技術・人文知識・国際業務」の場合、学歴・職歴を通じて習得した専門的知識とスキルが実際の業務の内容と関連していることが重要です。派遣社員の場合は、実際に働く「派遣先」の業務の内容との関連性が審査されます。

申請するときは、学歴・職歴と業務に関連があることを証明するため、派遣先の会社案内、ホームページなどで会社の事業内容を紹介します。また、理由書などで派遣社員の担当する業務の内容を詳しく説明することも重要です。

■事業の安定性・継続性

「技術・人文知識・国際業務」を取得するためには、外国人が契約を締結する企業の事業に安定性・継続性があることが必要です。派遣社員は「派遣元」と派遣契約を締結するため、派遣元の事業が審査されます。

事業の安定性・継続性を証明するため、会社案内・パンフレット、履歴事項全部証明書などで会社の事業内容、沿革、事業の実績を紹介するとともに、直近年度の決算書で十分な売上が確保されていることを示します。新規設立された会社の場合、事業計画書を提出します。

■外国人に対する報酬

派遣社員に対して支払う報酬は日本人社員と同等もしくはそれ以上であることが必要です。

基本的には、派遣社員が所属する会社(派遣元)で、同じ業務に従事する日本人と同等以上の報酬を受けているか否かにより判断されます。
ただし、他の企業で同種の職種に従事する日本人の平均的な報酬よりも低い場合、この条件を満たさないと判断される場合もあります。

3.外国人を派遣社員として雇用する際の注意点

派遣社員は「派遣元」と雇用契約を締結しますが、実際に就労するのは「派遣先」です。そのため、入管法上注意しなければならない事項があります。

  • 従事できるのは在留資格と派遣先の業務内容が合う仕事に限られる

派遣社員は、自身のキャリアやスキルを活かして仕事を選ぶことができます。しかし、外国人が就労する場合、自身の保有する在留資格で認められる範囲内の仕事にだけ従事できます。

例えば、ITエンジニアの派遣社員として就労していた「技術・人文知識・国際業務」の外国人を、単純作業を行う工場には派遣できません。単純作業は「技術・人文知識・国際業務」の範囲外の仕事だからです。

もし「技術・人文知識・国際業務」を持っている外国人が、派遣先との契約満了に伴い新たな派遣先で「技術・人文知識・国際業務」の範囲外の業務を行った場合、働いた外国人が不法就労者として罰せられるだけでなく、雇用した事業主も不法就労助長罪に問われますので、十分注意しましょう。

4.所属する組織に変更があった場合の届出について

外国人が所属している企業(組織)に変更があった場合、14日以内に「所属機関に関する届出」を行うことが義務づけられています。

届出の種類は在留資格によって異なります。例えば、派遣社員が「技術・人文知識・国際業務」の場合、届け出るのは派遣元と派遣契約を締結したときです。派遣先が変わっても届け出る必要はありません。

以下、在留資格の種類ごとに必要な届出を紹介します。外国人の持つ在留資格の種類によって必要な届出を確認しましょう。

■派遣先での就労の終了と、新しい派遣先への派遣を届け出る在留資格

●教授
●高度専門職1号ハ
●高度専門職2号
●経営・管理
●法律・会計業務
●医療
●教育
●企業内転勤
●技能実習
●留学
●研修

■派遣元との派遣契約の締結を届け出る在留資格

●技術・人文知識・国際業務
●高度専門職1号イ
●高度専門職1号ロ
●高度専門職2号
●研究
●介護
●興行
●技能

5.まとめ

外国人の派遣社員を雇用すれば、就労在留資格、保険、給与計算などの手続きを派遣会社に一任できるため、正社員を雇い入れるよりもコストを削減できます。また派遣社員として働く外国人にとっても、就労在留資格を取得する選択肢が広がるというメリットがあります。

派遣元と外国人が業務で必要とする知識・スキルと、希望する就労期間、報酬をマッチングした上で派遣契約を締結できれば、企業・外国人の両方にメリットが大きい働き方です。

このコラムで紹介した在留資格の取得手続きの注意点などを理解したうえで、派遣社員の採用をご検討ください。また、申請手続きにお悩みの際は、ぜひ当事務所にご相談ください。


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