特定技能とは


行政書士 永井国際法務事務所

VISA申請や帰化申請にまつわる内容を中心に連載形式のコラムです

昨今では、中小・小規模事業者をはじめとした人手不足が深刻化しています。特定技能在留資格は、求人活動を実施したりしても人材確保が困難な特定14分野において、一定の専門性や技術を既に身につけている即戦力となる外国人を受け入れる目的で、2019年4月に創設されました。

特定技能外国人は日本語と特定技能試験の合格が必須なので、既に一定の技術や知識を持っているところが特徴です。企業側で訓練を実施しなくても、雇用後にすぐに働いてもらえます。

特定技能の活用を検討している際には、細かな条件やメリット、デメリットを把握して自社で導入できそうか判断することが欠かせません。

そこでこのコラムでは、在留資格のひとつである特定技能の概要や技能実習制度との違い、メリットやデメリットなど基礎的な知識をまとめて確認していきます。

1.特定技能と技能実習の比較

特定技能と比較することが多い在留資格として、技能実習があります。両者にはどのような違いがあるのか比較してみましょう。

項目技能実習特定技能
目的日本で培われた技能、技術、または知識を開発途上国等へ移転し、その国の経済発展を担う「人づくり」に貢献すること人手不足が深刻な特定産業分野で、即戦力となる外国人材を受け入れること
在留期間最長5年特定技能2号になると更新の制限なし (特定技能1号の更新は最長5年)
業種(分野)91職種168作業(2025年4月時点)16分野(特定技能1号と2号では対象分野が異なる)  
給与日本人と同等以上日本人と同等以上
日本語能力入国時にはなくても良いが、試験に合格するためにN5レベルを事実上要求される。 監理団体(企業単独型受入れの場合は企業)が講習を行う  日本語試験に合格する必要あり。 最低 N4レベル(JFT-Basic)   介護分野においては、介護分野の日本語能力試験の合格がさらに必要
最低年齢18歳以上18歳以上
採用人数制限あり建設以外は、なし

1-1.両者の目的の違い

特定技能は国内の人材不足を解消する即戦力となる外国人を受け入れることが目的です。

一方で、技能実習は、国際貢献を目的としています。日本で培われた技能、技術、または知識を開発途上国等へ移転し、その国の経済発展を担う「人づくり」に協力するための制度です。

技能実習では一人ひとりに技能実習計画を作成し、技能実習計画が適切である認定を受ける必要があります。また、実習開始から2ヶ月間は基本的な講習を行い、知識や技術を学ぶ必要があります。

このように、特定技能は人材不足の解消と率先力の確保、技能実習は技術や知識の移行という目的の違いがあります。

1-2. 在留期間の違い

技能実習は、下記の3段階に分かれています。

技能実習1号技能実習1年目。2ヶ月間は座学を始め基礎的な知識を養う
技能実習2号技能実習2~3年目。技能実習1年修了時に試験に合格をすると、移行が可能 技能実習1号よりも専門的な知識を養う
技能実習3号技能実習4~5年目。技能実習2号修了時の試験に合格をすると移行が可能 より高度な技能を学ぶ(優良な監視団体等のみ3年で一時帰国し、再入国後の2年間の延長が可能)

以上のように、技能実習は最長でも技能実習3号までの5年間となり、5年目以降は技能実習を活用した在留できません。

一方で、特定技能の場合は、特定技能1号は最長5年までの上限がありますが、特定技能2号を取得できると在留期間に上限がなくなります。

技能実習は日本で学んだ技術を発展途上国に持ち帰り活かさなければならないため期間に制限がありますが、特定技能2号では期限がないところが大きな違いです。

1-3. 外国人の受け入れ方式

技能実習は、下記の2つの受け入れ方式を用意しています。

企業単独型日本の企業等が海外の現地法人や取引先企業の従業員を受け入れて、技能実習を実施する方式
団体監理型事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等で技能実習を実施する方式

技能実習は技術や知識の習得が目的なので営利を目的としない団体が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等で技能実習を実施する団体監理型が90%以上を占めています。

一方で、特定技能は、日本人の採用活動と同じように実施します。外国人のスキルや条件を確認し双方の承諾を得たら、企業と直接雇用契約を締結します。

このように、技能実習と特定技能はどちらも在留資格ではありますが、目的が大きく異なるため仕組みや取り組み方が異なります。

なお、技能実習制度は、その実際の運用が低賃金での労働者搾取であるとの指摘が広まり、2027年までに廃止され、後継の「育成就労制度」に移行することが決まっています。

2.特定技能で従事できる業務

いままで、特定技能と技能実習の際を見ましたので、これから、特定技能について見ていきましょう。

特定技能で従事できる業務は、下記の16の特定産業分野のみです。この分野は生産性の向上や人材確保が困難な分野として日本政府により選定されたものです。

 項番業務分野業務内容
 1介護分野身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)のほか、これに付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等) 【1区分】
 2ビルクリーニング分野建築物内部の清掃 【1区分】
 3工業製品製造業分野・機械金属加工(素形材製品や産業機械等の製造工程の作業) ・電気電子機器組立(電気電子機器等の製造工程、組立工程の作業) ・金属表面処理(表面処理等の作業) ・紙器・段ボール箱製造(製造工程の作業) ・コンクリート製品製造(製造工程の作業) ・RPF製造(破砕・成形等の作業) ・陶磁器製品製造(製造工程の作業) ・印刷・製本(オフセット印刷、グラビア印刷、製本の製造工程の作業) ・紡績製品製造(製造工程の作業) ・縫製(縫製工程の作業) 【10区分】
 4建設分野・土木(土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業等) ・建築(建築物の新築、増築、改築若しくは移転又は修繕若しくは模様替に係る作業) ・ライフライン・設備(電気通信、ガス、水道、電気その他のライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業) 【3区分】
 5造船・舶用工業分野・造船(船舶の製造工程の作業) ・舶用機械(舶用機械の製造工程の作業) ・舶用電気電子機器(舶用電気電子機器の製造工程の作業) 【3区分】
 6自動車整備分野自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備、特定整備に付随する基礎的な業務 【1区分】
 7航空分野・空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務など) ・航空機整備(機体、装備品等の整備業務など) 【2区分】
 8宿泊分野宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供に従事する業務 【1区分】
 9自動車運送業分野・トラック運転手 ・タクシー運転手 ・バス運転手 【3区分】
 10鉄道分野・軌道整備(軌道等の新設、改良、修繕に係る作業・検査業務等) ・電気設備整備(電路設備、変電所等設備、電気機器等設備、信号保安設備、保安通信設備、踏切保安設備等の新設、改良、修繕に係る作業・検査業務等) ・車両整備(鉄道車両の整備業務等) ・車両製造(鉄道車両、鉄道車両部品等の製造業務等) ・運輸係員(駅係員、車掌 、運転士等) 【5区分】
 11農業分野・耕種農業全般(栽培管理や農産物の集出荷・選別など) ・畜産農業全般(飼養管、畜産物の集出荷・選別など) 【2区分】
 12漁業分野・ 漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索や漁獲物の処理など) ・ 養殖業(養殖資材の製作や養殖水産動植物の育成管理など) 【2区分】
 13飲食料品製造業分野飲食料品製造全般(飲食料品(酒類を除く。)の製造・加工及び安全衛生の確保) 【1区分】
 14外食業分野外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理) 【1区分】
 15林業分野林業(育林、素材生産等) 【1区分】
 16木材産業分野製材業、合板製造業等に係る木材の加工 【1区分】

・特定技能の種類

 ところで、特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。求められる技能水準が異なっており、「特定技能2号」は「特定技能1号」より高度な技能が認められた在留資格であり、就労活動の場では、それぞれに応じた業務を行うことになります。

項目特定技能1号特定技能2号
対象分野次の16分野 ・介護分野 ・ビルクリーニング分野 ・工業製品製造業分野 ・建設分野 ・造船・舶用工業分野 ・自動車整備分野 ・航空分野 ・宿泊分野 ・自動車運送業分野 ・鉄道分野 ・農業分野 ・漁業分野 ・飲食料品製造業分野 ・外食業分野 ・林業分野 ・木材産業分野次の11分野   ・ビルクリーニング分野 ・工業製品製造業分野 ・建設分野 ・造船・舶用工業分野 ・自動車整備分野 ・航空分野 ・宿泊分野     ・農業分野 ・漁業分野 ・飲食料品製造業分野 ・外食業分野  
技能水準相当程度の知識又は経験を必要とする技能熟練した技能
技能水準の 確認方法各分野の試験で確認各分野の試験で確認
日本語能力生活や業務に必要な日本語能力 (試験あり)生活や業務に必要な日本語能力 (試験なし)
在留期間基本的に通算5年でまで更新の上限なし
家族帯同基本的に不可要件を満たせば、配偶者・子の帯同可能
その他受け入れ機関・登録支援機関の支援対象受け入れ機関・登録支援機関の支援対象外

3.特定技能の種類

3-1. 特定技能1号

特定技能1号には特段の教育や訓練を行わなくても、直ちに一定水準の業務を遂行できる力が求められます。そのため、特定技能の申請条件として、日本語試験と特定技能試験への合格が求められています。(試験は国内外どちらでも受験可能)

1. 日本語能力試験

特定技能1号は、ある程度日常会話ができ、生活や業務に支障がない能力を有することを基本としています。そのため、国際交流基金日本語基礎テスト(A2レベル以上)または日本語能力試験(N4レベル以上)に合格する必要があります。

2. 特定技能試験

特定技能1号は従事する分野と同一分野の試験で、技能水準を確認します。各分野の詳しい試験内容については、「特定技能における試験」を参考にしてみてください。

特定技能1号は1年を超えない期間での更新で、上限が通算5年までとなっています。また、受け入れ機関や登録支援機関の支援対象なので、日本での生活に困らないようにサポートが必要です。

3-2.特定技能2号

特定技能2号は、長年の実務で身につけた熟練した技能を要する外国人向けの在留資格です。

自らの判断で専門的な業務を遂行できる、監督者として業務を統括できるなど、定技能1号よりも高い水準が求められます。

特定技能1号の在留資格者が、誰でも特定技能2号になれるわけではありません。

熟練した技術と知識を有しているのかを特定技能2号試験により確認し、合格した場合のみ特定技能2号の申請が可能です。

特定技能1号との大きな違いは、在留期間に上限がないことです。また、一定の条件をクリアすると家族の帯同も認められています。

4.特定技能を活用する4つのメリット

特定技能を活用することで

・人材不足を解消できる
・フルタイムで雇用できる
・日本語でのコミュニケーションが可能
・技能実習から継続した雇用もできる

というメリットがあります。

4-1.人材不足を解消できる

1つ目のメリットは、深刻な人手不足を解消できるところです。

その背景には日本国内の少子高齢化などさまざまな問題がありますが、人材が確保できないと企業の成長や利益の創出が難しくなります。

そこで、特定技能外国人は、専門性の高い技術や知識を一から習得する必要がないため、すぐに企業の一員として力を発揮できます。

4-2.フルタイムで雇用できる

2つ目は、正社員としてフルタイムで雇用できるところです。

特定技能外国人は、日本人と同様に原則として「1日8時間・週40時間」以内での労働時間が定められています。これを基本とし、法定労働時間を超えて労働させる場合は「36協定」の締結と労働基準監督署への届出が必要です。また、休憩時間の付与も義務付けられています。

留学生や家族滞在の在留資格の場合は、アルバイトの許可が出ても時間の制限があります。

勤務時間に制限があると、人手不足の解消につながらない可能性があります。特定技能では正社員としてフルタイムでの雇用ができるため、時間のかかる作業や長期的なプロジェクトにも関わってもらえます。

4-3.日本語でのコミュニケーションが可能

3つ目は、日本語でコミュニケーションができるところです。外国人を雇用するときに、言葉の壁に悩む企業は多いのではないでしょうか。

特定技能1号の申請には、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験に合格することが要件であり、ある程度日常会話ができ生活や仕事に支障がないレベルを基本としているので、特定技能外国人は日本語が全く通じないとは考えにくいでしょう。

業務への従事前に企業側で日本語の訓練をしなくてもコミュニケーションが取れるので、企業側の不安や負担を軽減できます。

4-4.技能実習から継続した雇用ができる

4つ目は、技能実習を活用し雇用している外国人を継続して雇用できるところです。

技能実習2号を良好な状態で修了していれば、特定技能試験や日本語試験を受けなくても特定技能1号へと移行できます。良好な状態とは技能実習を計画に従い、2年10ヶ月以上修了していることを指します。

技能実習2号は日本で2~3年間仕事に従事していますので、その間に蓄積した技術や知識を活かして継続雇用ができるため、新たな人材を探すよりもコストが低いでしょう。

なお、自社で勤務をしていなくても関連性のある分野の技能実習2号を良好な状態で修了していれば、特定技能1号として新たに雇用することも可能です。

【技能実習中でも特定技能1号の申請は可能】   技能実習2号を特定技能1号として雇用することを決めている場合は、技能実習中であっても申請手続きを進めることが可能です。   在留資格の移行や書類作成には時間を要することが考えられるので、早めに取り掛かるとよいでしょう。  

5.特定技能を活用するデメリットメリット

特定技能を活用するメリットを確認しましたが、デメリットは何でしょうか。

特定技能を活用するデメリットとしては

・特定技能1号の場合は支援が必要
・1号特定技能外国人は5年で帰国しなければならない
・外国人雇用のための基盤を整える必要がある

という3つが挙げられます。雇用後に戸惑うことがないように、あらかじめ確認しておきましょう。

5-1.特定技能1号の場合は支援が必要

特定技能1号は、受け入れ企業が支援する必要があります。ただ雇用するだけではなく、日常生活や業務を円滑に行えるようにサポートしなければなりません。

具体的には、雇用契約の締結後に1号特定技能外国人支援計画を作成し、実施することが求められます。

なお、1号特定技能外国人に対する支援は、必ず行わなければならない「義務的支援」

のほか、これに加えて行うことが望ましい「任意的支援」に分けられます。

1号特定技能外国人支援計画の項目には規定があり、下記の10項目の策定と実施が「義務的支援」として求められています。

 項番項目概要
 1事前ガイダンス雇用契約締結時(在留資格認定証明書交付申請前または在留資格変更許可申請前)に労働条件や活動内容、出国手続きなどについて、対面やテレビ電話で説明をする。 特定技能外国人が把握できる言語で行う必要があり、文書の郵送や電子メールの送信のみで行うことは認められない。
 2出入国する際の送迎入国時に空港等から勤務地(住居)まで送迎する。 出国時に勤務地(住居)から空港等の保安検査場の前まで同行する。
 3住居確保・生活に必要な契約支援住居契約時の連帯保証人になる、水道やガス、スマートフォンなどの契約案内・補助を行うなどの支援をする。
 4生活オリエンテーション円滑に生活ができるように、日本のルールやマナー、医療機関や公共交通機関の利用方法などを教える。 特定技能外国人が把握できる言語で行う必要がある。
 5公的手続き等への同行必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行、書類作成の補助を行う。
 6日本語学習の機会の提供日本語教室への入学手続きや、必要に応じた教材の提供などを行う。
 7相談・苦情への対応特定技能外国人が理解できる言語で相談や苦情に対応する。 必要に応じ、相談等内容に対応する適切な機関(地方出入国在留管理局、労働基準監督署等)を案内し、当該外国人に同行して必要な手続の補助を行う。 相談・苦情の対応は、特定技能外国人の勤務形態に合わせて、1週間当たり勤務日に3日以上、休日に1日以上対応し、相談しやすい就業時間外(夜間)などにも対応できることが必要。
 8日本人との交流促進自治体や地域住民との交流やお祭りなどへの参加のサポートをする。
 9転職支援(人員整理等の場合)受け入れ企業の都合で契約を解除する場合は、転職のサポートをする。 求職活動のための有給休暇の付与や必要な行政手続きの情報の提供も行う。
 10定期的な面談・行政機関への通報特定技能外国人の労働状況や生活状況を確認するため、3ヶ月に1回以上の頻度で面談を実施する。 労働基準法違反などが見受けられたら、行政機関に報告をする。

例えば、特定技能外国人が入国する際には、空港から勤務地または自宅までの送迎が必要です。また、住居の確保や各種契約の手続きなど、生活の支援も行います。

このように、仕事以外でも日常生活の支援が求められるので、想定以上に受入れ企業の負担が大きくなる可能性があります。

【1号特定技能外国人支援計画の内容は一部または全部を外部委託することが可能】   1号特定技能外国人支援計画の内容は、一部、または全部を登録支援機関に委託することが可能です。登録支援機関とは、特定技能外国人のサポートをする機関のことです。   一定のコストがかかりますが、1号特定技能外国人支援計画の内容を自社で実施することが難しい場合は登録支援機関を活用することが望ましいでしょう。

5-2. 1号特定技能外国人は通算5年で帰国しなければならない

特定技能1号の更新は、最長で通算5年間となります。基本的に、通算5年が経過すると在留資格を失うので、帰国しなければなりません。

技能実習2号からの移行を視野に入れると5年以上の継続勤務ができますが、通常は意外と短期間の雇用となってしまうことを理解しておく必要があります。

5-3. 外国人雇用のための基盤を整える必要がある

特定技能外国人は日本語力や技術力が高いとは言え、文化や習慣の違いがあります。

例えば、外国人に伝わりにくいが、日本人間では多少される「あとはよろしく」「手伝ってくれたら嬉しい」などの曖昧な言葉を多用していると、特定技能外国人には理解できずコミュニケーション不全となります。

その結果、良好な関係を築くことが難しくなることがあります。特定技能外国人を受け入れる前に、コミュニケーション方式や指導方法を見直して、基盤を整えなる必要があります。

6.特定技能外国人を雇用するまでの流れ

ここからは、特定技能外国人が日本に在留している場合と海外に住んでいる場合に分けて、実際に雇用をするまでの流れを解説していきます。

どのような手続きが必要なのか把握できるので、ぜひ参考にしてみてください。

6-1. 日本在留の外国人を採用する場合

技能実習2号を始め既に日本に在留している外国人を雇用する際には、下記のように進めます。

1. 試験に合格または技能実習2号を修了する

まずは外国人が、特定技能1号、特定技能2号の申請条件となる試験(日本語能力試験と特定技能試験)に合格をします。特定技能1号については、技能実習2号を良好な状態で修了している際は、試験が免除されます。

技能実習2号から特定技能への移行には、移行元の職種と従事する業務が関連していることが条件となります。

2. 特定技能外国人と受け入れ企業が雇用契約を結ぶ

特定技能外国人と受け入れ企業が雇用契約を締結します。

雇用契約を締結したら、14日以内に特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出を提出します。

3. 1号特定技能外国人支援計画を策定

特定技能1号の外国人を雇用する場合は、1号特定技能外国人支援計画を策定し実施できるようにします。

4. 在留資格変更許可の申請をする

地方出入国在留管理局に対し、在留資格変更許可申請をします。基本的には特定技能外国人本人が申請を行います。

行政書士等が申請取次をすることは可能です。

5. 在留資格を変更する

無事に在留資格の変更ができると「特定技能1号」「特定技能2号」のいずれかに移行され、在留カードとともに指定書が発行されます。

6. 就労の開始

すべての手続きが終わったら、特定技能外国人として就労を開始できます。

必要や書類や詳しい手順は、「特定技能 申請流れ」で確認してみてください。

6-2. 海外在住の外国人を雇う場合

海外に住んでいる外国人を雇用する場合は、出国の手続きが必要です。そのため、下記のような流れで進めていきます。

1. 試験に合格または技能実習2号を修了する

まずは外国人側が特定技能1号、特定技能2号のいずれかの試験に合格をします。

特定技能1号については、技能実習2号を良好な状態で修了している際は、修了後に帰国をしていても特定分野と日本語の試験が免除されます。

2. 特定技能外国人と受け入れ企業が雇用契約を結ぶ

特定技能外国人と受け入れ企業が雇用契約を締結します。雇用契約を締結したら、14日以内に特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出を提出します。

3. 1号特定技能外国人支援計画を策定

特定技能1号の外国人を雇用する場合は、1号特定技能外国人支援計画を策定し実施できるようにします。

4. 在留資格認定証明書の交付を申請する

地方出入国在留管理局に、在留資格認定証明書の交付を申請します。特定技能外国人が国外にいるので、受け入れ機関の職員などの代理申請が基本です。

5. 在外公館に査証(ビザ)を申請する

在留資格認定証明書を受け取ったら他の必要書類と一緒に在外公館へ提出し、ビザの申請を行います。ビザが発給されたら、3ヶ月以内に日本に入国します。

6. 入国・就労の開始

特定技能外国人が入国をしたら、就労が始まります。入国したばかりの特定技能外国人は住居や口座などの準備が整っていないので、1号特定技能外国人支援計画に従ってサポートを行います。

必要や書類や詳しい手順は、「特定技能ビザ 申請流れ」で確認してみてください。

7.特定技能外国人を受け入れる企業の条件

特定技能外国人を受け入れる企業は

・受け入れ基準を満たしている
・外国人支援計画の作成と実施ができている
・.特定技能雇用契約に係る届出を提出している

という3つの条件を満たす必要があります。この条件を知らないと在留資格申請時に資料不足や条件不適合となる可能性があるので、あらかじめ確認しておきましょう。

7-1.受け入れ基準を満たしている

特定技能外国人を受け入れる企業側は、下記の条件を満たす必要があります。

1. 特定技能外国人と結ぶ雇用契約が適切 

特定技能外国人と雇用契約を結ぶときには差別や特別扱いをしないで、日本人の従業員と同等以上の待遇が求められます。

・外国人であることを理由に、福利厚生や教育訓練の実施などの待遇に差別扱いをしない
・分野別技能方針及び分野別運用要綱で定める水準を満たす業務に従事させる
・労働時間は通常の労働者の所定労働時間と同等である
・同等の業務に従事する日本人労働者の報酬期間と同等以上でなければならない
・特定技能外国人から一時帰国の申し出があった場合はやむを得ない場合を除いて、有給休暇が取得できるような配慮をするなど

2. 受け入れ機関自体が適切 

特定技能外国人を受け入れる企業は労働関係の法令を遵守し、適切な労働環境を維持していなければなりません。

・労働関係法令を遵守している
・1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていない
・雇用契約締結の1年以内および契約締結後に行方不明者を発生させていない
・入出国または労働に関する違反などの欠格事由に該当しない
・受け入れ機関が保証金の徴収を定める契約などを締結していない
・特定技能外国人の支援にかかる費用を直接または間接的に外国人に負担させない
・預貯金口座への振込等により適正に報酬を支払う
・労災保険への届出を適切に行っているなど

3. 外国人を支援する体制があること

受け入れ企業は、特定技能外国人が勤務しやすい環境を整える必要があります。

・特定技能外国人が理解できる言語での情報提供や相談体制が整っている
・雇用契約を継続して履行できる体制が整備されているなど

4. 外国人を支援する計画が適切であること

特定技能外国人を受け入れる企業は雇用して終わりではなく、各届出を怠ることなく提出しなければなりません。

・出入国在留管理庁への各種届出を怠らない
・1号特定技能外国人支援計画を作成、実施できる

特定技能外国人を受け入れるときに、受入れ企業が認定を受ける必要はありません。しかし、在留資格申請時に所定の基準を満たしているか審査されるので、あらかじめ条件を満たしておきましょう。

7-2.外国人支援計画の作成と実施ができる

特定技能1号の外国人を雇用する場合は、雇用契約締結後に1号特定技能外国人支援計画を作成し実施しなければなりません。

1号特定技能外国人支援計画書は、在留資格の申請をするときに提出します。作成や実施は受け入れ企業の必要条件となります。

生活オリエンテーションや相談・苦情への対応など規定の10項目に関して、具体的な取り組み内容を計画します。もちろん、計画するだけでなく、特定技能1号外国人が円滑に日常生活や業務をできるようサポートを継続することが求められます。

7-3.特定技能雇用契約に係る届出を提出している

受け入れ企業が特定技能外国人と雇用契約を締結した後には、地方出入国在留管理官署に特定技能雇用契約に係る届出を提出しなければなりません。

未提出の場合は特定技能外国人との雇用関係が確認できず、受け入れ企業の条件を満たしていないと捉えられる可能性があります。

特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出
提出期日雇用契約を締結してから14日以内
提出先受け入れ機関の住所を管轄する地方出入国在留管理官署 出入国在留管理庁電子届出システムによるオンライン申請
記入事項・特定技能外国人の氏名,生年月日、性別、国籍・地域、住居地(日本在留の場合は在留カードの番号) ・新たな特定技能雇用契約を締結した年月日 ・新たな特定技能雇用契約の内容
必要書類・届出書 ・新たに締結した契約内容を証明する資料(必要に応じて) ・身分を証する文書等の提示
書式可能な限り指定様式を使用して届出

 【ご参考】https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00187.html

雇用契約の内容に変更が発生した際には、その都度特定技能雇用契約に係る届出を提出し直す必要があります。

8.特定技能外国人を雇用するときの注意点

最後に、特定技能外国人を雇用するときの注意点をあげます。特定技能外国人を雇用するときに、参考にしてください。

8-1.継続した報告が必要

特定技能外国人を雇用する際は、就労を開始できれば終わりではありません。

特定技能外国人を受け入れている事業主は、出入国在留管理庁に対する定期的な報告及び必要が生じたときに随時報告をする義務を負います。(報告書類は特定技能1号と2号で異なります)

  • 四半期ごとの定期報告が必要なもの(代表例)
    • 受入れ・活動状況に係る届出書
    • 特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況
    • 賃金台帳の写し
    • 支援実施状況に係る届出書
    • 相談記録書
    • 定期面談報告書

特定技能外国人の雇用状況や支援内容に変更が生じたときは、随時届出が必要です。

・仕事にやりがいを感じられない

随時提出が必要なもの

雇用契約の再締結・変更・終了が発生したときをはじめ、特定技能外国人が失踪してしまい受け入れが困難になったときなども、随時届出が義務付けられています。 届出事由が発生したときから14日以内に届出る必要があります。

  • 随時提出が必要なもの
    • 雇用契約に係る届出
    • 支援計画変更に係る届出書
    • 支援委託契約に係る届出書
    • 受入れ困難に係る届出
    • 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為に係る届出書
    • 登録支援機関との支援委託契約の締結、変更、終了に関する届出

このように、特定技能外国人の雇用後も定期的な届出をしなければならないことは覚えておきましょう。

8-2.雇用環境を維持する取り組みが必要

特定技能外国人が活躍できない職場の特徴として

・職場の雰囲気が悪い

・上司の外国人へのマネジメント力が不足している

という3つがあります。特定技能外国人は一定の条件さえ満たせば、日本人と同様に転職ができるので、これらの原因があると人材が育たず離職を選んでしまう傾向があります。

そのため、受け入れ企業側が、特定技能外国人の活躍できるような雇用環境を維持することが重要です。

対処法は、日本人に対するものとおおむね同様であると思われますが、特に特定技能外国人に対しては、特に注意すべき点もあります。

それぞれの対処法を考えてみましょう。

1. 職場の雰囲気が悪い

・従業員全員に外国人雇用の重要性を共有する

・仕事以外のコミュニケーションの機会を作る

・同じ国籍から複数人を採用する

2. 上司の外国人へのマネジメント力が不足している

・従来の受け入れ体制の2割は外国人向けにカスタマイズして、習慣や言語の違いがあっても理解できるよう工夫する

・異文化に理解のある上司をマネジメントにつける

3. 仕事にやりがいを感じられない

・「スキルアップしたい」「仕事を通じて成長したい」など特定技能外国人の目標や思いを汲んで仕事を割り振る

・仕事のメリットを共有する

例えば、特定技能外国人が仕事へのやる気を失っている場合は、日本人に対してと同様に、仕事をするメリットを具体的に伝えるます。

「この技術があると母国に帰ったときに役に立つ」「将来的に自分のためになるスキル」など、モチベーションがアップする言葉をかけるようにすると良いでしょう。

特定技能外国人を雇用した後も、福利厚生や報酬などの待遇面を含めて働きやすい環境作りが求められるでしょう。

まとめ

如何でしたでしょうか。

特定技能の基礎知識が分かり、どのような在留資格なのか把握できたかと思います。最後に、この記事の内容をまとめてみると

■特定技能とは

2019年4月に創設された新たな在留資格。生産性の向上や国内での求人活動をしても人材確保が困難な14分野において、一定の専門性や技術を既に身につけている外国人を即戦力として受け入れることが目的

■特定技能を活用するメリットは次の4つ

1)中小企業等で深刻化している人材不足を解消できる
2)フルタイムで雇用できるため即戦力となる
3)日本語試験に合格しているので雇用当初から日本語でのコミュニケーションが可能
4)技能実習2号から継続した雇用ができる

■特定技能を活用するデメリットは次の3つ

1)特定技能1号の外国人の場合は継続した支援が必要
2)特定技能1号の外国人は通算5年で帰国しなければならない
3)外国人雇用のための基盤を整える必要がある

■特定技能外国人を雇用する流れは下記のとおり

1)日本国内在留の外国人を採用するケース

1. 日本語、特定技能分野の試験に合格または技能実習2号を修了する
2.特定技能外国人と受け入れ企業が雇用契約を結ぶ
3.特定技能1号を雇用する場合は1号特定技能外国人支援計画を策定し実施
4.在留資格変更許可の申請をする
5.在留資格を変更
6.就労の開始
7.すべての手続きが終わったら特定技能外国人として就労を開始

2)海外にいる外国人を雇用するケース

①日本語・特定技能分野の試験に合格または技能実習2号を修了する
②特定技能外国人と受け入れ企業が雇用契約を結ぶ
③特定技能1号外国人を雇用する場合は1号特定技能外国人支援計画を策定し実施
④在留資格認定証明書の交付を申請する
⑤在外公館に査証(ビザ)を申請する
⑥入国・就労の開始

〇 特定技能外国人を受け入れる企業の条件は下記のとおり

1)受け入れ機関の条件を満たしている

・特定技能外国人と結ぶ雇用契約が適切である
・受け入れ機関自体が適切である
・外国人を支援する体制がある
・外国人を支援する計画が適切である

2)特定技能1号を雇用する場合は計画書を作成できる

3)雇用契約締結後に特定技能雇用契約に係る届出を提出している

〇 特定技能外国人を雇用するときの注意点

  1. 雇用して終わりではなく継続した届出が必要
  2. 雇用環境を維持する取り組みが必要

以上になります。

人材不足で悩み、特定技能外国人を採用したいと考えたときの参考にしてください。

【注意】本コラムは、令和7年12月時点での情報に基づき作成しています


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