【保存版】技人国ビザの実務研修はどこまで認められる?|「技術・人文知識・国際業務」の研修ルールと企業の注意点 ― How Much Practical Training Is Allowed Under the Engineer/Specialist in Humanities/International Services Status?|Training Rules & Employer Compliance Guide in Japan ―


行政書士 永井国際法務事務所

VISA申請や帰化申請にまつわる内容を中心に連載形式のコラムです

✅ このコラムの結論(Summary)

■ 日本語(重要ポイント)

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で外国人を採用した場合、入社後に一定期間の実務研修を行うことがあります。

しかし、研修中の業務がすべて「技術・人文知識・国際業務」に該当するとは限りません。

例えば、

  • 飲食店での接客
  • 小売店での販売業務
  • 工場のライン業務

など、研修期間だけを見れば「技術・人文知識・国際業務」に該当しない活動が含まれる場合があります。

このような研修でも、一定の条件を満たせば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の範囲内として認められる場合があります。

重要なのは、

「研修中に何をするか」だけではなく、研修を含めた日本での活動全体をどのように評価できるか

という点です。

特に、

日本人社員にも同様の研修が行われているか
研修後に「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務へ移行する予定が明確か
研修期間に合理性があるか
研修が長期間に及んでいないか
企業側が研修計画やキャリアステップを説明できるか

が重要になります。

出入国在留管理庁も、採用当初の実務研修について、一定の場合には在留資格に該当しない活動を含む研修を認める取扱いを明確化しています。

🔷 English (Key Points)

Foreign nationals holding the Engineer/Specialist in Humanities/International Services status may undergo practical training when they join a company in Japan.

Some training activities may, when considered separately, fall outside the scope of this status, such as customer service at restaurants, retail sales, or factory line work.

However, such training may be permitted when it forms part of a reasonable training program that is also provided to Japanese employees and when the foreign national is expected to move on to duties covered by the Engineer/Specialist in Humanities/International Services status.

The key issue is therefore not simply what the employee does during training, but whether the training is reasonably connected to the employee’s planned career and covered activities in Japan.

Employers should pay particular attention to:

  • whether comparable training is provided to Japanese employees;
  • the planned career path after training;
  • the reasonableness of the training period;
  • whether the training is excessively long; and
  • whether the company can adequately explain the training plan and future duties.

This guide explains the practical rules for training foreign employees under the Engineer/Specialist in Humanities/International Services status in Japan.

📘 実務解説編

■ 「技術・人文知識・国際業務」と実務研修の関係

「技術・人文知識・国際業務」は、本邦の公私の機関との契約に基づき、自然科学・人文科学の分野に属する技術・知識を必要とする業務、または外国文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に従事するための在留資格です。

そのため、原則として、在留する外国人が実際に行う活動も、この在留資格に該当するものである必要があります。

例えば、

  • システム開発
  • プログラミング
  • 機械設計
  • 経理
  • マーケティング
  • 通訳・翻訳

などの専門的業務は、「技術・人文知識・国際業務」に該当する可能性があります。

一方、

  • 飲食店での接客
  • 小売店での店頭販売
  • 工場のライン業務

などは、それ自体を通常の就労として行う場合には、「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動とはいえません。

では、入社直後の研修としてこれらの業務を行わせることはできるのでしょうか。

ここに、「実務研修」と「通常の就労」の重要な違いがあります。

■ ① 実務研修なら、在留資格に該当しない業務が含まれる場合がある

出入国在留管理庁は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修について、一定の取扱いを明確にしています。

実務研修期間だけを取り出して見ると、在留資格に該当しない活動であっても、

日本人の大卒社員等に対しても同様に行われる実務研修の一環であり、在留期間中の活動を全体として見た場合に、その研修が在留期間の大半を占めるものではない場合

には、相当性を判断した上で「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の範囲内として認められる場合があります。

つまり、

「研修中に専門業務以外の仕事を少し行った」=直ちに資格外活動

という単純な判断ではありません。

重要なのは、その活動が本当に入社後の実務研修として合理的に位置付けられているかです。

■ ② 日本人社員にも同じ研修が行われているか

実務研修の相当性を判断する上で、非常に重要なのが、

「外国人だけに特別な研修を設定していないか」

という点です。

例えば、新入社員全員に対して、

  • 店舗研修
  • 接客研修
  • 現場研修
  • 工場研修
  • 顧客対応研修

などを行っているのであれば、その研修が会社の通常の新人研修として合理的に行われていることを説明しやすくなります。

一方、

「外国人だから現場作業を長期間させる」

というような運用では、実務研修としての相当性が認められにくくなる可能性があります。

出入国在留管理庁の資料でも、外国人社員だけに実務研修を設定したり、日本人社員と異なる研修を行ったりする場合には、合理的な理由が必要とされています。日本語研修を目的とする場合などは、その一例として示されています。

したがって企業側は、

「日本人社員にも同じ研修を行っている」

ことを説明できるようにしておくことが重要です。

■ ③ 「在留期間中」は、現在の在留カードの期間だけを意味しない

この点は、実務上かなり重要です。

実務研修を含めた在留資格該当性を判断する場合、ここでいう「在留期間中」は、単に現在の在留カードに記載された1年・3年・5年などの期間を意味するわけではありません。

出入国在留管理庁は、雇用契約書や研修計画などの企業側資料から、申請人が今後日本で「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって活動することが想定される期間全体を意味するとしています。

例えば、

長期間にわたって常勤社員として雇用する予定であり、研修終了後は技人国に該当する専門業務に従事することが明確

というケースであれば、現在の在留期間が1年であることだけを理由に、研修期間を1年未満にしなければならない、という意味ではありません。

出入国在留管理庁の資料でも、今後相当期間にわたって技人国該当業務に従事することが予定されている者については、決定された1年間の在留期間のすべてを実務研修に充てることも想定されています。 ただし、これは「1年間ならどのような研修でも自由にできる」という意味ではありません。

■ ④ 研修期間が長ければよいわけではない

実務研修については、長期間にわたって無制限に認められるわけではありません。

出入国在留管理庁は、実務研修について適正な在留管理の観点から長期にわたって認めるものではないとし、採用から1年間を超えて実務研修に従事するような申請については、研修計画の提出を求め、研修期間の合理性を審査するとしています。

したがって、

「研修だから2年間、3年間現場で働かせる」

というような計画は、当然に認められるものではありません。

むしろ、

なぜその期間の研修が必要なのか

を具体的に説明できることが重要です。

■ ⑤ 研修期間が採用から1年間を超える場合は、研修計画が重要

研修期間が長期に及ぶ場合には、企業側が研修の必要性と合理性を説明できる資料を準備する必要があります。

出入国在留管理庁は、必要に応じて、

  • 日本人社員を含めた入社後のキャリアステップ
  • 各段階における具体的な職務内容
  • 社内の組織図
  • 現在受け入れている技人国の在留資格を有する外国人の勤務状況

などを示す資料の提出を求める場合があるとしています。

つまり、単に、

採用から1年間研修します」

と書くだけでは十分とはいえません。

例えば、

入社 → 基礎研修 → 現場研修 → 専門業務への移行 → 将来的な担当業務

というキャリアステップを示し、それぞれの期間と具体的な職務内容を説明できるようにしておくことが重要です。

■ ⑥ 「研修」と「通常業務」を明確に区別する

実務研修で特に注意したいのが、

研修の名目だけを付けて、実際には対象外業務を通常の仕事として続けていないか

という点です。

例えば、システムエンジニアとして採用した外国人について、

「新人研修」と称して最初の数か月だけ社内の現場を経験させるのであれば、合理的な研修として説明できる可能性があります。

しかし、

その後も長期間にわたって店舗販売や単純作業を中心に従事させる

ような場合には、実務研修としての相当性について慎重な検討が必要です。

そのため、研修後に予定されている業務内容や、研修期間との関係についても、あらかじめ整理しておくことが重要です。

■ ⑦ 雇用契約期間との関係にも注意

実務研修の期間は、雇用契約の内容とも整合していなければなりません。

例えば、雇用契約期間が3年間のみで、その後の契約更新も予定されていないにもかかわらず、

採用後2年間を対象外業務の実務研修に充てる

という計画は認められないと、出入国在留管理庁の資料で明確に示されています。

つまり、

雇用契約の期間 × 研修期間 × 研修後の専門業務

の関係を一貫して説明できる必要があります。

■ ⑧ 外国人だけ研修内容が違う場合は要注意

外国人社員について、日本人社員とは異なる研修を設定する場合には、その理由を説明できるようにしておきましょう。

例えば、

「日本語能力を向上させるため、日本人社員にはない日本語研修を追加する」

など、合理的な理由がある場合には説明可能です。

一方、

「外国人なので、一定期間は単純作業を担当させる」

というだけでは、実務研修としての相当性を説明することが難しくなる可能性があります。

■ ⑨ 研修計画は「入管に説明する資料」として作る

企業側が実務研修を予定している場合、研修計画は単なる社内教育資料としてではなく、

「なぜ、この外国人に、この研修が必要なのか」

を説明できる資料として作成することが重要です。

最低限、次のような事項を整理しておくとよいでしょう。

研修計画で整理したい項目

  • 研修の目的
  • 研修期間
  • 研修場所
  • 研修内容
  • 各研修段階で担当する業務
  • 日本人社員にも同様の研修があるか
  • 研修終了後の配属先
  • 研修終了後の具体的な職務内容
  • 将来的なキャリアステップ
  • 研修期間をこの長さに設定する合理的理由

特に重要なのは、

「研修終了後に何の仕事をするのか」

を具体的に示すことです。

そのため、研修中の業務だけではなく、実際に従事する仕事内容が「技術・人文知識・国際業務」に該当するかを確認する必要があります。
▼ 「技人国ビザの不許可理由とは?」を確認する。

■ 実務研修に関する「3つの整合性」

実務上は、次の3点を一体として確認することをおすすめします。

研修とキャリアの整合性

研修内容 ↔ 研修後の専門業務

研修が、将来担当する専門業務につながっているか。

日本人社員との整合性

外国人社員の研修 ↔ 日本人社員の研修

外国人だけに不合理な研修を設定していないか。

書類との整合性

雇用契約書 ↔ 研修計画 ↔ 求人票 ↔ 会社説明資料

研修期間、仕事内容、配属先、将来の職務内容などが一致しているか。

この3つが整理されていれば、実務研修の合理性を説明しやすくなります。

■ よくあるNGパターン

NG1 「新人研修」と言いながら対象外業務が長期間続く

研修終了後も専門業務に移行せず、対象外業務が中心になっている。

NG2 外国人だけ長期間の現場研修を行う

日本人社員には行っていない現場作業を、外国人だけに長期間行わせている。

NG3 研修期間を設定した理由が説明できない

「会社の方針だから」「仕事を覚えるまで」といった抽象的な説明しかできない。

NG4 研修後の仕事内容が曖昧

「将来的にはエンジニアとして働く」としながら、具体的な配属先や職務内容が決まっていない。

NG5 雇用契約と研修計画が一致していない

雇用契約書と研修計画で、配属先・業務内容・期間などの記載が異なっている。

NG6 研修期間が長すぎる

研修期間が1年を超えるにもかかわらず、なぜその期間が必要なのかを説明する資料が整っていない。

■ 在留期間更新にも影響する

実務研修を予定して「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が決定された場合、研修終了後に技人国に該当する活動へ移行していることを確認する必要があるため、出入国在留管理庁は、実務研修期間が設けられている場合、在留期間の決定時等には原則として「1年」を決定するとしています。

また、在留期間更新時に、当初予定していた期間を超えて実務研修を続けている場合には、その事情について説明を求められることがあります。

合理的な理由がない場合には、在留期間の更新が認められないこともあります。

したがって、

「研修期間だから、在留資格には関係ない」

と考えるのは危険です。

採用時点だけでなく、更新時まで見据えて研修計画を設計することが重要です。

■ まとめ|技人国の実務研修は「研修だから自由」ではない

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で外国人を採用する場合、入社後に一定の実務研修を行うこと自体は可能です。

また、研修期間だけを見れば技人国に該当しない活動であっても、

日本人社員にも同様に行われる合理的な実務研修の一環であり、将来的に技人国に該当する専門業務へ移行することが明確であるなど、一定の条件を満たせば認められる場合があります。

ただし、

  • 外国人だけに不合理な研修を設定しない
  • 研修期間を必要以上に長くしない
  • 研修後の専門業務を明確にする
  • 雇用契約と研修計画を一致させる
  • 1年を超える研修では合理性を具体的に説明する
  • 在留期間更新時まで見据えて研修計画を管理する

ことが重要です。

結局のところ、ポイントは、

「研修期間中に何をするか」
だけではなく、

「なぜその研修が必要で、研修後にどのような専門業務へ移行するのか」

を企業側が一貫して説明できることにあります。

外国人を採用する企業では、採用時点から、

採用 → 実務研修 → 専門業務への移行 → キャリアステップ

までを一つの流れとして設計しておくことをおすすめします。

■ よくある質問(FAQ)

Q1.技人国の外国人に接客研修をさせても大丈夫ですか?

A.一定の条件を満たす新人研修であれば、認められる場合があります。ただし、接客業務が長期間に及ぶ場合は注意が必要です。

Q2.工場のライン研修はできますか?

A.一定の条件を満たす実務研修であれば、認められる場合があります。研修後の業務内容や研修期間などを含め、全体として合理性があるかが重要です。

Q3.実務研修は何か月まで認められますか?

A.「○か月まで」という一律の基準はありません。研修の必要性や内容、期間の合理性などを総合的に判断します。

Q4.採用から1年間の在留期間なら、1年間すべて研修でも大丈夫ですか?

A.在留期間が採用から1年間だから、1年間すべて研修にできるわけではありません。研修期間の合理性や、その後の専門業務との関係が重要です。

Q5.採用から1年間を超える実務研修には研修計画が必要ですか?

A.採用から1年間を超える実務研修では、研修計画の提出が必要となります。研修内容や期間、その後の業務を具体的に記載することが重要です。

■ 技人国の実務研修についてご相談の方へ

「この研修内容なら技人国の在留資格で問題ない?」

「外国人社員だけ研修内容が違うけれど大丈夫?」

「研修期間をどの程度に設定すればよい?」

「研修後の仕事内容をどのように説明すればよい?」

このようなケースでは、採用後ではなく、研修計画を作成する段階で確認しておくことが重要です。

当事務所では、

  • 技人国の在留資格該当性の確認
  • 実務研修の内容・期間の確認
  • 研修計画の整理
  • 研修後の職務内容の確認
  • 雇用契約書・求人票等との整合性チェック
  • 在留期間更新を見据えた就労状況の確認

などをサポートしています。

「研修だから大丈夫」と決めつけず、研修内容と将来の専門業務との関係を、事前に整理しておくことが重要です。

※本記事は、出入国在留管理庁が公表している「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修に関する資料等をもとに、一般的な取扱いを解説したものです。個別の申請・研修計画については、職務内容、研修期間、雇用契約、企業の研修制度等を踏まえた個別の確認が必要です。


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