【実務解説】特定技能1号の「日本人と同等以上の報酬」とは?|給与比較の基準と注意点を徹底解説
― What Does “Equal or Higher Remuneration Than Japanese Workers” Mean for Specified Skilled Worker (i)?|Practical Guide to Salary Comparison ―


行政書士 永井国際法務事務所

VISA申請や帰化申請にまつわる内容を中心に連載形式のコラムです

最近のコラム



コラム一覧

⚠️ このコラムが特に役立つ方

  • 特定技能1号の外国人をこれから雇用する企業
  • 「日本人と同等以上の報酬」の意味がよく分からない方
  • 外国人本人と日本人の給与をどのように比較すればよいか迷っている方
  • 特定技能外国人の給与設定を検討している企業
  • 特定技能1号の在留資格認定・変更・更新を予定している方
  • 既存の給与設定が「同等以上」の基準を満たしているか確認したい方

✅ このコラムの結論(Summary)

特定技能1号では、外国人に支払う報酬について、

日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上であること

が求められます。

ここで重要なのは、

単純に「日本人社員の平均給与」と比べればよいわけではない

ということです。

実際の判断では、

  • 従事する業務の内容
  • 求められる技能・経験
  • 実務経験年数
  • 職務上の責任
  • 日本人従業員の賃金水準
  • 同じ企業・同じ職務における給与水準
  • 比較対象がいない場合に参考となる給与水準

などを踏まえて、合理的に比較する必要があります。

つまり、

「外国人だからこの給与」

という設定ではなく、

「同等の業務・技能・経験を有する日本人なら、どの程度の報酬になるのか」

という視点から給与額を設定することが重要です。

🔰 やさしい日本語

特定技能1号の外国人に払う給料は、

同じような仕事をする日本人と同じくらい、またはそれ以上

である必要があります。

ただし、

「会社の日本人社員の平均給料と同じにすればよい」

という意味ではありません。

大切なのは、

  • どんな仕事をするか
  • どんな技能があるか
  • 仕事の経験がどのくらいあるか
  • どのくらい責任のある仕事をするか
  • 同じような仕事をする日本人がいくらもらっているか

などを確認することです。

つまり、

外国人だから給料を安くすることはできません。

日本人と同じような仕事・技能・経験であれば、それに見合った給料を設定する必要があります。

🔷 English Summary

Under the Specified Skilled Worker (i) system in Japan, remuneration paid to a foreign worker must be equal to or higher than the remuneration paid to a Japanese worker engaged in equivalent work.

The requirement does not simply mean that the foreign worker must receive the same salary as the average Japanese employee of the company.

The comparison should take into account factors such as:

  • the actual duties performed;
  • the skills required for the position;
  • relevant work experience;
  • the level of responsibility;
  • remuneration paid to comparable Japanese workers; and
  • the overall salary structure of the employer.

In practice, the important question is:

How much would a Japanese worker with comparable duties, skills and experience reasonably be paid for the same work?

The remuneration offered to the specified skilled worker should be set consistently with that level.

📘 実務解説編

1. 「日本人と同等以上の報酬」とは?

特定技能1号では、受入れ企業が外国人に支払う報酬について、

日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上

であることが求められています。

これは、特定技能外国人について、

「外国人だから日本人より安い給与で雇用する」

ことを防ぐための重要な基準です。

特定技能制度そのものも、一定の専門性・技能を有する外国人を即戦力として受け入れる制度として設けられています。

したがって、給与設定についても、

「外国人であること」ではなく「その仕事に対する職務・技能・経験」

を基準として考える必要があります。

▼ 特定技能1号の取得条件・雇用企業の要件を確認する
 【保存版】特定技能とは?|外国人採用で知っておくべき制度・対象分野・メリット・注意点を完全解説

2. 「日本人と同等」とは、誰と比較するのか?

ここが実務上、非常に重要です。

例えば、会社に、

  • 事務職
  • 営業職
  • 現場作業員
  • 管理職

など複数の職種があるとします。

この場合、

「会社の日本人社員全員の平均給与」

だけを基準として比較するのは適切とは限りません。

重要なのは、

特定技能外国人が実際に従事する業務と同等の業務に従事する日本人

との比較です。

さらに、単に職種名が同じであればよいわけではありません。

例えば「製造スタッフ」という同じ名称でも、

  • 未経験者
  • 3年の実務経験者
  • 班長
  • 熟練作業者

では、通常、責任や技能が異なります。

そのため、

職務内容と技能・経験を含めて比較する

という考え方が重要です。

3. 「同じ仕事」だけでなく「同等の技能」も重要

特定技能制度の運用では、同等の技能を有する日本人の賃金台帳や実務経験年数を証する資料などが確認資料として示されています。

つまり、給与比較では、

仕事の名称だけを見るのではなく、職務内容・責任・技能・経験年数等を踏まえて比較する

必要があります。

例えば、

外国人A

  • 特定技能1号
  • 実務経験5年
  • 現場の主要業務を担当

日本人B

  • 同じ業務
  • 実務経験5年
  • 同程度の責任

という場合、

AとBの給与に大きな差があるのであれば、

なぜその差が生じているのか

を説明できる状態にしておく必要があります。

4. 「日本人の最低賃金以上」なら大丈夫?

これは注意が必要です。

特定技能1号の報酬基準は、

「最低賃金を超えているか」だけを確認する制度ではありません。

最低賃金を上回っていたとしても、

同等の業務・技能・経験を有する日本人に比べて著しく低い報酬であれば、

「日本人と同等以上」という基準との関係で問題となる可能性があります。

したがって、

最低賃金をクリアしている

特定技能の給与基準もクリア

と単純に考えないことが重要です。

5. 比較するときに確認したいポイント

給与設定を行う場合には、少なくとも次の点を整理しておきましょう。

業務内容

外国人が実際に担当する業務を確認します。

技能

その業務を行うために必要となる技能や能力を確認します。

実務経験

外国人と比較対象となる日本人の経験年数を確認します。

責任

担当する仕事の責任範囲に違いがないか確認します。

日本人の賃金水準

同等の業務・技能・経験を有する日本人の給与を確認します。

会社の給与体系

基本給だけでなく、会社の給与規程や手当等も含めて、全体として合理的な給与設定になっているか確認します。

6. 「基本給」だけ比較すればよい?

ここも注意が必要です。

給与比較をする場合、

外国人の基本給
VS
日本人の基本給

だけを機械的に比較するのではなく、

実際の報酬体系全体を確認する

ことが重要です。

例えば、

  • 基本給
  • 職務手当
  • 資格手当
  • 役職手当
  • その他の固定的な手当

など、給与体系にはさまざまな要素があります。

ただし、手当の性質や支給条件はそれぞれ異なるため、単純にすべてを合算して比較すればよいという意味でもありません。

報酬額の比較では、月給・時間給への換算方法や、支給条件の異なる手当等についても個別に確認する必要があります。

重要なのは、

同等の仕事をする日本人と外国人について、合理的で説明可能な給与体系になっているか

という点です。

7. 「外国人だから給与を低くする」はNG

例えば、

「日本人には月額30万円を払っているが、外国人なので25万円にする」

という考え方は適切ではありません。

逆に、

「日本人と同じ業務・技能・経験であれば、同等の水準の報酬を設定する」

という考え方が基本です。

特定技能外国人に対する報酬について、日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上であることが求められているためです。

8. 比較対象となる日本人がいない場合は?

中小企業などでは、

「同じ仕事をしている日本人社員がいない」

というケースもあります。

この場合でも、

「比較対象がいないから、自由に給与を決めてよい」

ということにはなりません。

入管庁のQ&Aでは、比較対象となる日本人の有無や賃金規定の有無に応じて、報酬の同等性を判断する考え方が示されています。

例えば、

① 会社に賃金規定がある場合

→ 原則として、賃金規定に基づいて報酬額を判断します。

② 賃金規定がなく、同等の業務に従事する日本人がいる場合

→ その日本人労働者との比較によって、報酬の同等性を判断します。

③ 賃金規定がなく、同等の業務に従事する日本人はいないものの、近い業務を担当する日本人がいる場合

→ その日本人の役職や責任の程度、年齢、経験年数などを踏まえ、特定技能外国人との報酬差を合理的に説明できるかどうかなどを検討します。

④ 賃金規定がなく、比較対象となる日本人もいない場合

→ 雇用契約書に記載された報酬額と、当局が保有する近隣同業他社における、同等業務・同等程度の経験を有する特定技能外国人の報酬額との比較によって判断されることがあります。

つまり、

「比較対象となる日本人がいない=給与設定は自由」

ではありません。

むしろ、比較対象となる日本人がいない場合には、

「なぜこの報酬額にしたのか」

を説明できるよう、賃金規定、職務内容、経験年数、役職・責任、給与水準などの根拠を整理しておくことが重要です。

特に、会社に賃金規定がある場合には、その規定との整合性を確認しておくことが重要です。

9. 「同等報酬」を証明するための資料

特定技能の申請では、給与額そのものだけでなく、

その給与額がどのような根拠で設定されたのか

を説明できるようにしておくことが重要です。

例えば、

  • 雇用契約書
  • 雇用条件書
  • 賃金規程
  • 給与規程
  • 日本人従業員の賃金台帳
  • 職務内容が分かる資料
  • 実務経験を確認できる資料

などを、案件に応じて整理します。

特定技能の運用要領でも、同等の技能を有する日本人の賃金台帳や実務経験年数を証する書類等が確認資料として示されています。

▼ 特定技能雇用契約の作成・確認ポイントを確認する
 【保存版】特定技能雇用契約の要件とは?|企業が確認すべき給与・仕事内容・契約条件を実務解説

10. 更新時にも「同等報酬」は重要

「最初の申請で許可されたから、その後は給与について考えなくてよい」

というわけではありません。

特定技能1号は、法務大臣が指定する期間について在留する在留資格であり、更新申請も制度上予定されています。

そのため、更新時にも、

  • 実際に支払われている給与
  • 雇用契約上の給与
  • 給与規程
  • 日本人従業員との給与水準
  • 雇用条件の変更

などを確認しておくことが重要です。

特に、

申請時に提出した雇用条件と、実際の給与支給状況が違う

という状態は避ける必要があります。

11. よくあるNGパターン

NG①「外国人だから日本人より安くする」

最も基本的なNGパターンです。

NG②「最低賃金を超えているから大丈夫」

最低賃金を満たすことだけで、「日本人と同等以上」という基準を当然に満たすとはいえません。

NG③「会社の日本人全員の平均給与と比べる」

職種、技能、経験、責任等が異なるため、平均値だけで判断するのは適切ではありません。

NG④「職種名が同じだから同等」

同じ職種名でも、仕事内容や経験、責任が異なる場合があります。

NG⑤「申請時だけ給与を高く設定する」

実際の雇用条件・給与支給状況と一致しない設定は避ける必要があります。

12. よくある質問(FAQ)

Q1.特定技能1号は、日本人より給料が高くなければいけませんか?

A.いいえ。「日本人と同等以上」とされているため、必ず日本人より高い給与でなければならないという意味ではありません。

Q2.最低賃金以上なら特定技能の給与基準を満たしますか?

A.最低賃金を満たすことだけで判断することはできません。同等の業務・技能・経験を有する日本人との比較が重要です。

Q3.比較する日本人は誰ですか?

A.基本的には、外国人が従事する業務と同等の業務に従事する日本人について、技能・経験・責任等も踏まえて比較することが重要です。

Q4.同じ会社に比較対象となる日本人がいません。どうすればよいですか?

A.会社に賃金規定がある場合には、その賃金規定に基づいて判断されます。賃金規定がなく、比較対象となる日本人もいない場合には、近隣同業他社における同等業務・同等程度の経験を有する特定技能外国人の報酬額との比較が行われる場合があります。賃金を決定するために根拠とした資料を残しておくことが必要です。

Q5.外国人の経験年数が日本人より短い場合、給与を低くしてもよいですか?

A.単純に経験年数だけで決まるものではありません。実際の業務内容、技能、経験、責任等を踏まえて合理的に判断する必要があります。

Q6.特定技能1号の給与を設定するとき、何を準備しておけばよいですか?

A.雇用契約書・雇用条件書だけでなく、給与規程や、比較対象となる日本人の賃金台帳など、給与額の根拠を説明できる資料を整理しておくことが重要です。

📘まとめ|「同じ金額」ではなく「同等の条件」で考える

特定技能1号の「日本人と同等以上の報酬」という基準は、

日本人と外国人の給与額を単純に横並びにする

という意味ではありません。

重要なのは、

✔ どのような仕事をするのか
✔ どのような技能が必要なのか
✔ どの程度の経験があるのか
✔ どの程度の責任を負うのか
✔ 同等の業務・技能・経験を有する日本人がどの程度の報酬を受けているのか
✔ その給与設定を客観的に説明できるか

という点です。

つまり、

「外国人だからこの給与」ではなく、「この仕事・技能・経験だからこの給与」

という説明ができる給与設定にすることが重要です。

特定技能1号の給与設定では、申請書類上の数字だけを確認するのではなく、

雇用条件・給与規程・賃金台帳・職務内容・経験年数などを含めて、全体として整合性のある給与設定になっているか

を確認することが重要です。

📞 特定技能1号の給与設定に不安がある企業ご担当者様へ

  • 「日本人と比較して、この給与設定で大丈夫?」
  • 「日本人従業員がいない場合、どうやって給与額を設定すればいい?」
  • 「給与規程と雇用条件書の内容は一致している?」
  • 「この給与額で申請して大丈夫?」
  • 「雇用条件書と給与規程の内容に問題はない?」

このような場合には、申請前に給与設定の根拠を整理しておくことが重要です。

当事務所では、

  • 特定技能1号の雇用条件の確認
  • 報酬額の比較根拠の整理
  • 雇用契約書・雇用条件書の確認
  • 給与規程等との整合性確認
  • 申請書類全体のチェック
  • 在留資格申請における不許可リスクの事前確認

を実務ベースでサポートしています。

「この条件で申請して大丈夫か?」

と不安な場合は、申請前にご相談ください。

初回相談は無料です。

▶ 無料相談・事前診断はこちら
(あなたのケースを実務ベースで個別分析します)

※本コラムは、特定技能制度に関する公開資料および入管実務を踏まえた一般的な解説です。個別の申請について、許可・不許可その他の結果を保証するものではありません。
また、「日本人と同等以上の報酬」に該当するかどうかは、実際の業務内容、技能・経験、責任、賃金規定、比較対象となる日本人の有無、雇用条件等によって個別に判断される場合があります。
そのため、本コラムの内容がすべての案件にそのまま当てはまるものではありません。申請を検討する際には、最新の出入国在留管理庁等の公表情報を確認するとともに、個別の事情に応じて専門家へご相談ください。

無料相談Visa Consultation Desk
無料相談Visa Consultation Desk